社内FAQボットをRAGでつくる手順
社内文書を検索して答えるRAG型FAQボットを、小さく作って育てる手順
「経費精算のやり方は?」「Wi-Fiのパスワードは?」といった社内の繰り返し質問は、社内文書を検索して回答する RAG(検索拡張生成)型のボットで減らせます。成否を分けるのは、AIの性能よりも「元になる文書の質」と「答えられないときの振る舞い」です。
目的
- 総務・人事・情シスへの同じ質問を減らす
- 社員が規程やマニュアルを探す時間を短くする
- 回答の根拠(どの文書のどこか)を示し、誤回答を減らす
準備するもの
- 回答の元になる文書:就業規則、経費規程、マニュアル、よくある質問集(最新版)
- 文書の担当者(内容を更新・確認する人)
- ツールの例:資料を登録して質問できる NotebookLM、ノーコードでボットを組める Dify、社内チャットに組み込める各種サービス
- 想定質問のリスト(20〜50問程度。テストに使います)
手順
- 対象を絞る:最初は「経費精算」「勤怠」など1〜2分野に限定します。
- 文書を整える:古い版を除き、1つの話題は1か所に書きます。表や画像だけの情報は文章にしておきます。
- ボットに文書を登録する:RAGでは、文書を小さな塊(チャンク)に分け、意味を表すベクトル(埋め込み)に変換して保存し、質問に近い塊を探して回答に使います。キーワード検索を併用すると、型番やエラーコードのような完全一致にも強くなります。
- 回答ルールを設定する:「文書にないことは答えず、担当窓口を案内する」「回答の最後に出典を示す」をシステムの指示に入れます。
- テストする:想定質問で試し、正答・誤答・回答不能を記録します。誤答は文書側を直すのが基本です。
- 小さく公開する:一部の部署で試し、フィードバックを集めます。
- 更新の仕組みを作る:規程が変わったら文書を差し替える担当と頻度を決めます。
プロンプト例
システムの指示(ボットの設定欄):
あなたは当社の社内ヘルプデスクです。 - 必ず登録された社内文書の内容だけに基づいて回答する - 回答の最後に「出典:文書名・該当箇所」を書く - 文書に記載がない場合は推測せず、 「記載が見つかりませんでした。総務部(#soumu チャンネル)にお問い合わせください」と答える - 個人の給与、評価、健康情報に関する質問には答えず、担当部署を案内する
うまくいかない時
- 的外れな回答:該当する文書が見つかっていない可能性があります。文書の見出しを具体的にし、同義語(「交通費」「旅費」)を本文に入れます。
- 古い情報で答える:古い版の文書を削除します。登録元と最新版の管理を一本化します。
- もっともらしい嘘をつく:「記載がない場合は答えない」の指示を強め、出典の表示を必須にします(ハルシネーション)。
注意点
- 権限とアクセス範囲:全員に見せてよい文書だけを登録します。人事評価や給与など、閲覧者を限定すべき情報を混ぜないでください。
- 情報漏えい:社外のサービスを使う場合、データの保存場所、学習への利用、管理者設定を確認します。
- 確認作業:重要な手続き(労務・法務)は、ボットの回答で完結させず、原文や担当者への確認を案内します。
- 関連:ベクトル検索、埋め込み、AIエージェント
参考リンク
- Introducing Contextual Retrieval(Anthropic)
- Dify Documentation(Dify 公式)
- Learn about Gemini Notebook / NotebookLM(Google ヘルプ)
編集: AI Play 編集部 最終更新: 2026-10-25