音声認識(文字起こし)とは
話し声をテキストに変換するAI技術。会議の文字起こしや字幕作成に活用
音声認識(ASR、Automatic Speech Recognition/Speech-to-Text)は、人の話し声をテキストに変換する技術です。会議の議事録、インタビューの文字起こし、動画の字幕、コールセンターの通話記録など、業務の中で最も身近に使われているAIの一つです。最近は文字起こしした結果を LLM で要約・整理するところまで一気に自動化する使い方が広がっています。
仕組みの概要
従来の音声認識は、音の特徴を音素に対応づける「音響モデル」と、単語のつながりやすさを扱う「言語モデル」を組み合わせていました。現在は、音声を入力すると直接テキストを出力する、エンドツーエンド型の深層学習モデルが主流です。
代表例が OpenAI の Whisper です。論文「Robust Speech Recognition via Large-Scale Weak Supervision」(2022年12月公開)では、多言語・マルチタスクの音声データ68万時間で学習したと説明されており、オープンなモデルとして公開されたことで多くのツールに組み込まれました。
できること
- 文字起こし:音声ファイルやリアルタイムの音声をテキスト化。
- 話者分離(ダイアライゼーション):「誰が話したか」を区別する。ツールによって対応状況が異なります。
- タイムスタンプ:発言時刻を付けて、字幕ファイル(SRTなど)を作る。
- 翻訳:他言語の音声をそのまま日本語や英語の文字にする機能を持つモデルもあります。
精度を上げるコツ
- 録音環境を整える:マイクを話者に近づける、雑音や反響の少ない部屋を選ぶ。オンライン会議ではヘッドセットが有効です。
- 同時に話さない:発言がかぶると誤認識が増えます。
- 専門用語を登録する:社名、商品名、人名などを辞書やヒントとして設定できるツールでは、積極的に登録しましょう。
- 長い音声は分割:サービスにはファイルサイズや長さの上限があることが多いため、事前に確認します。
- 最後は人が確認:数字、固有名詞、否定表現(「〜しない」)は誤りが致命的になりやすい部分です。
議事録づくりの流れ(例)
- 会議を録音(参加者に録音の旨を伝える)
- 音声認識でテキスト化
- LLMに「決定事項・宿題・期限」を抽出するよう依頼
- 担当者が原文と照らして確認し、共有
要約段階では ハルシネーション(もっともらしい誤り)が起こりうるため、重要な決定事項は文字起こし原文で確認する習慣をつけましょう。
注意点(個人情報・機密)
- 録音の同意:会議や通話を録音・文字起こしする場合は、参加者に事前に伝えましょう。
- クラウドに送る前に確認:多くのサービスは音声をクラウドで処理します。顧客情報や未公開情報を含む会議は、会社が契約・許可したサービスを使い、データの保存期間や学習利用の有無を確認してください。個人情報保護委員会も生成AIサービス利用時の注意喚起を出しています。
- ローカル実行の選択肢:機密性が高い場合は、端末内で動くモデルを使う方法もあります。
関連する技術
逆方向に文字を声にするのが 音声合成、紙や画像の文字を読み取るのが OCR です。
参考リンク
- Robust Speech Recognition via Large-Scale Weak Supervision(arXiv)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
編集: AI Play 編集部 最終更新: 2026-10-25