社内AI利用ガイドラインの作り方:盛り込む項目と運用のコツ
社内で生成AIを安全に使うためのルールの項目と作成手順
生成AIを社員が安全に使うには、「何をしてよく、何をしてはいけないか」を明文化した社内ガイドラインが役立ちます。ゼロから作る必要はなく、公開されているひな形や政府の指針を土台にすると効率的です。
土台にできる公開資料
- 日本ディープラーニング協会(JDLA)「生成AIの利用ガイドライン」:企業が自社向けに加筆・修正して使うことを想定したひな形です。2026年10月時点で、一般向けの第1.1版(2023年10月)と画像編(2024年2月)が公開されており、「条項のみ」と「簡易解説付」の形式があります。
- AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省):AI開発者・AI提供者・AI利用者の3主体ごとに取り組む事項を示した政府の指針です。社員が業務でAIを使う会社は「AI利用者」に当たります。
- 個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月):個人情報を含むプロンプト入力時の注意点が示されています。
盛り込みたい主な項目
1. 目的と適用範囲
誰が(正社員・業務委託など)、どのツールを、どの業務で使う場合に適用されるかを書きます。
2. 利用できるツール
会社が承認したツールの一覧と、承認の申請方法を定めます。個人アカウントの業務利用を認めるかどうかも明記します。
3. 入力してはいけない情報
- 個人情報(顧客・従業員・取引先担当者など)
- 秘密保持契約(NDA)の対象情報、未公開の財務情報
- パスワード、APIキーなどの認証情報
AI事業者ガイドラインも、AI利用者に対して個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意を払うことを求めています。
4. 出力の確認と利用
- 事実関係・数値・引用元は人が確認する(ハルシネーション対策)
- 既存の作品に似ていないか確認してから社外に出す(生成AIと著作権)
- 社外向け広告での扱い(AIで作った広告・PRの表示)
5. AI利用の表示
社外に出す成果物で、AIを使ったことを表示するかどうかの社内基準を決めます。法令上の一般的な表示義務がない場面でも、取引先との契約や媒体の規約で求められることがあります。
6. 相談窓口とインシデント対応
誤って機密情報を入力した、問題のある出力を公開してしまった、といった場合の報告先と手順を書きます。
7. 改定ルール
技術も法令も変わるため、見直しの頻度(例:半年ごと)と責任部署を決めます。
作成の手順
- 推進担当、法務、情報システム、現場代表で小さなチームを作る
- 公開ひな形をもとに自社版の草案を作る
- 試行チームで使ってもらい、分かりにくい点を直す
- 経営層の承認を得て公開し、研修とセットで周知する
運用のコツ
- 禁止より「使い方の型」を示す:OK例・NG例を具体的に載せる
- 1枚の要約版を作る:本文とは別に、すぐ読めるチェックリストを配る
- 問い合わせを集める:現場の質問はガイドライン改定の材料になる
詳しい導入の流れは企業の生成AI導入ステップも参考にしてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の案件は弁護士など専門家にご相談ください。
参考リンク
編集: AI Play 編集部 最終更新: 2026-10-25