AI人材とリスキリング:社内教育の進め方
全社員の基礎と推進役の実践を分けて、公的な枠組みを活用する
生成AIを導入しても、使い方を知らなければ成果は出ません。社内教育は「全社員の基礎リテラシー」と「推進役の実践スキル」を分けて設計すると進めやすくなります。日本には、経済産業省とIPA(情報処理推進機構)が整備した公的な枠組みもあります。
公的な枠組み:デジタルスキル標準(DSS)
IPAが公開する「デジタルスキル標準」は次の2つで構成されています。
- DXリテラシー標準(DSS-L):すべてのビジネスパーソンが身につけるべきDXの基礎知識
- DX推進スキル標準(DSS-P):DXを推進する人材の役割と必要なスキル
2024年7月8日に公開されたver.1.2では、DX推進スキル標準に生成AIに関する補記が加わりました。生成AIの特性、新技術への向き合い方、業務で生成AIを使う個人の行動例、生成AIを使った製品・サービスを開発・提供する際の行動例などが示されています。社内研修の到達目標を決めるときの参考になります。
講座探しに使える:マナビDX
「マナビDX」は経済産業省とIPAが運営するデジタル人材育成のポータルサイトです。デジタルリテラシー講座と実践講座が掲載されており、デジタルスキル標準との対応を審査した講座が紹介されています。無料の講座を検索するフィルターもあります。
社内教育の設計
1. 全社員向け(基礎)
- 生成AIの仕組みと限界(ハルシネーション、学習データの時点)
- 社内ルール:入力してはいけない情報、出力の確認(社内AI利用ガイドラインの作り方)
- 基本的なプロンプトの書き方
- 著作権・個人情報の基本(生成AIと著作権)
1〜2時間の研修と、短いチェックテストの組み合わせが一般的です。日本ディープラーニング協会(JDLA)は、生成AIの知識と活用リテラシーを確認するミニテスト「Generative AI Test」を提供しています。
2. 部門の推進役向け(実践)
- 自部門の業務を分解し、AIに任せる部分を設計する
- プロンプトのテンプレートを作り、部内に共有する
- 効果を測る(AI導入の費用対効果)
3. 開発・データ担当向け(専門)
- API活用、RAG、評価方法、セキュリティ(生成AIのセキュリティ対策)
- JDLAのG検定(ジェネラリスト向け)・E資格(エンジニア向け)などの資格も学習目標として使われています
定着させる工夫
- 社内事例の共有会:月1回、うまくいった使い方を現場から発表してもらう
- 相談チャンネル:社内チャットに質問用の場を作る
- 業務時間内に練習時間を確保する:自習任せにしない
- 評価に反映する:活用や共有を評価する仕組みを作る
よくある失敗
- 一度きりの研修で終わる
- ツールの操作説明だけで、業務への当てはめ方を扱わない
- 経営層や管理職が使わず、現場だけに任せる
導入全体の流れは企業の生成AI導入ステップを参照してください。
参考リンク
編集: AI Play 編集部 最終更新: 2026-10-25