AIと日本の法律・ガイドライン(政府の指針)の概要
AI法・AI基本計画・AI事業者ガイドラインと関連法令の全体像
日本のAIに関するルールは、AIの研究開発・活用を推進する法律(AI法)と、事業者が自主的に取り組むためのガイドライン、そして著作権法や個人情報保護法などの既存の法令の組み合わせで成り立っています。ここでは全体像を整理します(2026年10月時点)。
AI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)
- 令和7年法律第53号。2025年5月28日に成立し、同年6月4日に一部施行、9月1日に全面施行されました
- 目的は国民生活の向上と国民経済の発展で、基本理念には研究開発力の保持・国際競争力の向上や、適正な研究開発・活用のための透明性の確保などが掲げられています
- 内閣に「人工知能戦略本部」を置き、本部長は内閣総理大臣、構成員はすべての国務大臣です
- 基本的施策として、研究開発の推進、人材確保、国際規範への参画、指針の整備、権利利益を侵害する事案の分析・調査、事業者への指導・助言・情報提供などが定められています
- 事業者には、国などの施策に協力する責務が定められています
内閣府の概要資料は、イノベーション促進とリスク対応の両立を掲げています。
AI基本計画
AI法に基づき、政府が実施すべき施策の基本方針などを定める計画です。最初の「人工知能基本計画」は2025年12月23日に閣議決定され、内閣府のページでは2026年7月14日閣議決定の計画が現行版として掲載されています。
AI事業者ガイドライン
総務省と経済産業省が策定した、AIガバナンスに関する統一的な指針です。第1.0版(2024年4月19日)以降改訂が続き、2026年3月31日に第1.2版が公表されています。
- 法的拘束力のない「ソフトロー」で、ゴールベースの考え方をとる
- 対象を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」の3主体に分けて、取り組む事項を示す
- 共通の指針として、人間中心、安全性、公平性、プライバシー保護、セキュリティ確保、透明性、アカウンタビリティなどを掲げる
- リスクの大きさに応じて対策の程度を決める「リスクベースアプローチ」を重視する
業務でAIサービスを使う企業は「AI利用者」に当たり、提供者が定めた範囲での適正利用、個人情報や機密情報の不適切な入力の防止などが求められています。
分野別の主な法令・指針
- 著作権:文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)など(生成AIと著作権)
- 個人情報:個人情報保護法、個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月)(生成AIと個人情報保護)
- 広告表示:景品表示法、ステマ規制(2023年10月施行)(AIで作った広告・PRの表示)
- 安全性評価:AIセーフティ・インスティテュート(AISI)のガイドなど(生成AIのセキュリティ対策)
実務への落とし込み
- 自社がAI開発者・提供者・利用者のどれに当たるかを整理する(複数を兼ねることもある)
- AI事業者ガイドラインの該当部分と別添(実践例)を読む
- 社内ルールに反映する(社内AI利用ガイドラインの作り方)
- 改訂を定期的に確認する担当を決める
ガイドラインや計画は頻繁に更新されるため、最新版は各省庁の公式ページで確認してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の案件は弁護士など専門家にご相談ください。
参考リンク
編集: AI Play 編集部 最終更新: 2026-10-25